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⑨リスクのアウトソース 倫理と責任

サンデル
リスクのアウトソーシングの例を上げてみよう。
アメリカの南北戦争での徴兵制度に関する話だ。
当時の徴兵制度では、自分の代理人、つまり
傭兵を金で雇って身代わりで戦場に送りだすことが法律上認められていた。
まさに、究極のアウトソースだ。これはフェアだろうか?
それとも認められないことだろうか?」

東京 ケンジ
「フェアだと思います。
自由意思で本人がリターンを得たいがためにリスクを冒す。さまざまなオプションの中から選択したのだからフェアだと思います。」

東京 エリコ
お金で誰かを雇う側に人達には、相手にリスクをできる限り低くする責任がある と思います。
誰かが代理で戦争に送るのなら戦争が早く終わるように手を尽くすべきです。
その人が安全でいられるように努力すべきです。」

サンデル
「今のエリコの提案は、実はこえまでの議論に新たな視点を加えるとても面白い意見だ。
今の話を原発の立地問題についても当てはめながら考えてみよう。
君の意見では、リスクをアウトソースすることはよい。
ただしその条件として、
例えば金持ちが傭兵を雇ったり、原発をお金と引き換えに受け入れてもらった場合
お金のやり取りが終了した後にも責任は負わなくてはならないということだね。」

東京 エリコ
「今回の場合でも東京や近所の人々は、福島の原発に注意を払い続けるべきでした。
私達には、その責任があると思います。」

サンデル
「非常に力強い考察だった。
リスクのアウトソース。そこには、ビジネスの取引とは違った倫理が必要
だという指摘だった。
金銭の取引があった後にも道義的な責任があるということ。
それは、取引を始めた意思が自由意思によるものかどうかという議論を超えて存在する責任の話だ。
今夜、私達は、災害時の補償の在り方の議論から始めた。
その責任は自然災害と、人為的な災害の場合でどのような違いがあるか を考えた。
興味深いディスカッションが出来たと思う。
被害者への補償は誰が行うのか?誰が金を払うのか?
それは勿論、誰に責任があるのかという問題と表裏一体だった。
そして最後の質問は、あなたは原子力発電所のそばで暮すことができるか? 
という問いだった。
これについては、原発の利用に賛成した人でも、それは出来ない と正直に答えた。
するとここで新たな問いが生じた。
原発を利用しながらもそのリスクはお金でアウトソースすることは許されるのか という問いだ。
賛成する人はこれは取引でビジネスだから問題はない と言った。
一方で、相手にとってこれは自由な選択とは言えないと反対する人もいた。
あるいは、リスクが大きすぎてアウトソースすることが許されない
ことも世の中にはあるのかもしれない。

東京のエリコが新たな視点をこの議論に提供してくれた。
もしかすると、リスクのアウトソースが認めてもよいのかもしれない。
但し、お金を払っても責任は負い続ける。
お金を払ったからと言って責任は消えることではない。


今夜の議論は、ややもすると金や経済の話ばかりに聞こえたかもしれない。
決してそうではない。
これは詰まるところ人間の責任とは何かという倫理的な議論なのだ。
こうした難問に答えを出すためには、私達は率直に議論を交わし、
相手に対する責任、義務、公正さ、正義というものの意味を問い続けなければいけない。

今日の議論だけで問題を解決できた訳ではない。
それでも、私達全員で議論を重ねたこうした試みが、
日本でそして世界中の社会でたとえささやかでも何かに力になれればと願っている。
大きな災害や、苦しい困難に直面しても、人々に善意、良心に希望を持ち続け
人々が同じ社会の中で一緒に生きていくことの価値を感じ続けられるように
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